明大中研 The V-Saloon Project 〜仮想サロン(アウェアネス・ツール)〜

* V-Saloon:仮想サロン(アウェアネス・ツール) *


□□□■出力例■□□□ ■■ □□□■利用例シナリオ■□□□


■ 概要 ■

分散環境における簡易対話ツールV-Saloon(仮想サロン)の開発と適用評価

グループウェアやワークフローシステムなどに代表される分野を対象にエンドユーザ主導のソフトウェア開発技法M-Base\cite{mbase}を研究中である。その一環として、今回、分散環境下での簡易対話ツールV-Saloon(仮想サロン)をJavaとHORBを用いて開発した。割り込み可能状態にあるグループのメンバーを遠隔端末上に表示することにより、テキストによる交信が簡単にできるアウェアネスツールとして、教師と学生の間などで実際に利用している。クライアント/サーバ型の分散システムの実現方式、大学の研究室での実際の適用評価結果について報告する。

設計思想

アウェアネス・ツールは、グループウェアの一つとして既に種々の研究がなされており、ビデオを用いて臨場感を重視するものや協調作業のためのグループウェアを利用する前段としての位置付けのものが多い。 我々はソフトウェア開発技法の研究において「身近なところから出発して本質に迫る」というアプローチをとるために、まず自分たちが使えるような以下の特徴を有するアウェアネス・ツールを開発した。

実際に対面して複雑なコミュニケーションや協調作業を開始するための前段階で相手の居場所と割り込み可能状態を確認するツールとしては、音声/画像を用いなくても、テキストだけで十分役に立つという考えから、仮想オフィスではなくて仮想サロンを開発した。

機能概要

V-Saloonの主要な機能は、次の4項目である。

使用例を図に示す。図の上部は、現在、サロンに入室している人のアイコンを表示しているサロンウインドウである。左端のアイコンの人と対話をするときにそのアイコンをクリックすると、図の中央部に示す対話用ウインドウが表示される。相手に送るメッセージを一番下のメッセージボックスに書いて送信すると、相手のウインドウに表示されている送信者のアイコンが赤く点灯し、到着音が鳴る。相手も同様に対話用ウインドウを開くと、1対1の会話が可能になる。 サロンウインドウの左から3番目のアイコンはチャット用であり、サロンにいる全員にメッセージが送られる。

処理方式

V-Saloonは、MVCモデルと分散オブジェクト環境HORBを用いて構築している。全てのクライアントは、サーバ上にある1つのモデルを共有する形になっている。クライアントとサーバオブジェクト間の通信は、ORBを通して行なう。

V-Saloonは、様々なクライアント端末で稼働することが望ましいので、ネットワーク上でのマルチプラットホーム対応が容易なJavaで記述した。現在、V-Saloonは、Solaris2、Windows、WindowsNT、Macintoshの4つのプラットフォーム上で稼働している。

V-Saloonは、Javaアプリケーション版とJavaアプレット版がある。大学の研究室などでは、Javaアプリケーション版を用いることにより、高応答性を実現できる。一方、Javaアプレット版を用いた場合は、クライアント側のインストールが不要なので、インターネットのどこからでもWWWブラウザを用いて手軽に利用できる反面、応答性は悪くなる。