ブログ(2018.1)
「新春大予測 20の技術が変える未来」特集を読んで、の詳細
日経コンピュータの特集「新春大予測 20の技術が変える未来」を読んで、
日経コンピュータ(2018.1.4)では、「2018年に進化を遂げる20の技術を選び出し、
それらがビジネスや社会、日本の未来をどう変えるのかを大胆予測」している。
そこで、過去の研究と関連する以下の4項目についてコメントする。
予測01:職場の人手不足が解消(RPA)
予測02:毎週、管理職の送別会(AI)
予測05:所有や雇用の常識が瓦解(シェアリングエコノミー)
予測07:航空・自動車も接続大開放(API管理)
●予測01●職場の人手不足が解消(RPA)
<要点>
・PCでのデータの入力・転記の繰り返し作業(定型業務)は
RPA(Robotic Process Automation)で自動化される。
・AI技術との連携で、例外処理や自然言語処理などの非定型業務も自動化される。
<コメント>
・これは、当研究室の1993年来のエンドユーザ主導開発技法の研究目的でもある。
・1994.3の学会発表
「wwHww:分散オフィスシステムのためのエンドユーザコンピューティング向きオブジェクト指向モデル」
(情報処理学会ソフトウェア工学研究会)では、以下のように記載している。
『すべての日常的仕事はコンピュータが代行するべきである、という立場で,
エンドユーザが自分のエージェントを自ら作り,自ら利用するためのツールを開発する
』
『急速な老齢化社会の到来と若年労働者の減少への対応としても、
これらの技術はおおいに役立つはずである』
●予測02●毎週、管理職の送別会(AI)
<要点>
・経費精算などの決裁や管理業務の多くはAIが担い、「ハンコを押すだけ」の管理職は不要になる。
・2018年はAI技術が企業ITの内製化を後押しする。
自社特有の業務やデータを知り抜いた社員でないと継続的にAIを鍛えられないためだ。
<コメント>
・最初の項は、第2次AIブームの時にメーカーの課長職であった私が、
管理業務の大半を占める日常業務の自動化を目指してエキスパートシステム構築ツールを
研究開発した動機と一致する。
・1992.8の拙著「ソフトウェア危機とプログラミングパラダイム」(啓学出版)では、
以下のように記載している。
『マルチパラダイム型の知識表現機能を持つエキスパ−トシステム構築ツ−ルES/X90を用いて、
知的秘書システムKISS(
Knowledge-based Intelligent Secretary System )の
プロトタイプを開発した』
『ユ−ザ(筆者自身)の雑多な中間管理業務を小さな定形業務の集まりと見て、
可能な限りコンピュ−タ化し、本質的な意思決定の部分のみをユ−ザが行う』
・第2項は、当研究室のエンドユーザ主導開発技法の必要性を示すものである。
・1997.9の学会発表「エンドユーザ主導の時代」(情報処理学会第55回大会)では、
以下のように記載している。
『業務の専門家が知恵を絞って効果的なアプリケーションをタイムリーに作っていくためには、
エンドユーザ自身が開発し、保守、拡張していく必要がある』
●予測05●所有や雇用の常識が瓦解(シェアリングエコノミー)
<要点>
・日本でも2018年は名実共に、モノ、場所、能力などのシェアリングサービスの「元年」になる。
<コメント>
・2002年からエンドユーザ主導開発技法の例題アプリとしてきた不用品再利用システムを
シェアリングサービスと位置付けて、多種多様なマッチングサイトを分析してきた。
・2014.11の学会発表「マッチングシステムを例題としたエンドユーザ主導開発方式に関する考察」
(電子情報通信学会 知能ソフトウェア工学研究会)では、利用者視点での評価基準として、
提供者と希望者への信頼性・安全性と成果物(物,サービス)の品質を用いた。
システム構築の視点では,ビジネスロジックのアルゴリズム的な処理の難易度と
ビジネスロジックの数の多さを評価基準として、分析を実施した。
●予測07●航空・自動車も接続大開放(API管理)
<要点>
・業務システムの機能を外部から使いやすくするAPIを一般企業が外向けに公開し始める。
<コメント>
・これはすでに定着している技術と思われる。
・当研究室では、2001年からフォームベースのWebサービス連携を研究してきた。
・10年前の学会発表「抽象フォームを用いたエンドユーザ主導の要求定義法」
(情報処理学会 ウィンターワークショップ2008・イン・道後
論文集)では、
以下のように記載している。
『要求仕様は,業務の専門家になじみのあるフォームとして定義することとする.
さらに,ワークフローをWebサービス化することにより,業務コンポーネントを
サービスプロバイダと見なすことができ,ビジネスレベルでの理解が可能となる.』
以上