ブログ(2017.12)
「脳情報科学が拓くAIとICT」特集(情報処理学会誌(2018.1))を読んで、の詳細:
情報処理学会誌(2018.1)の「脳情報科学が拓くAI とICT」特集を読んで、
− 第1次AIブームの時に執筆した卒論1969・修論1971の視点からのコメント −
■記事「5.脳のネットワーク特性と脳内情報処理」:
「大脳皮質のネットワーク構造と不均一性」の節からの引用:
「強いシナプス結合が作るクラスタ性の高いモチーフは、
ネットワーク内に互いに孤立して存在しているわけではなく、
クラスタ性の高いモチーフがさらにつながり合うことで大域的な構造も作られている」
「局所的なクラスタ性(ランダムネットワークよりも密な結合)と、
大域的な連結性の両方の性質を併せ持つネットワークは、
スモールワールドネットワークと呼ばれており」
「スモールワールド構造とランダムネットワークの二重性が神経情報処理に果たす役割は、
今後の重要な研究課題である」
このような二重性は、私の修論における概念の認識と概念間の連想度を扱った思考モデルとも合うが、
マクロレベルとミクロレベルの違いがあるかもしれない。私の思考モデルについては、
修士2年のときに以下の研究発表をしている。
★「思考過程のシミュレ-ション」(電子通信学会オ-トマトン研究会資料、A70-76)
「スパイク発火の不規則性と自発ゆらぎ」の節からの引用:
「不規則なスパイク発火や膜電位のゆらぎは、動物が何の感覚入力も受けず、
神経ネットワークが外部から何の入力も受けていないときにも継続的に発生している」
「幕電位がゆらいでいるため、スパイク発火伝搬のタイミングは不規則になり、
この不規則性によって、スパイク発火タイミングが分散され、
ネットワーク全体の発作的な同期発火が抑制される。」
このような「ループの安定化」は、上記(★印)の私の学会発表論文における
「拡散と集中による思考のモデル」でも必要だった。以下の本文引用に示すように、
内部状態はループ1回ごとに正規化した。
『系はn個の言語表現可能な概念を持ち、
入力、状態、出力はn次元ベクトルI、Q、Oとし、
qiは概念iの想起度で、qi=1とする。』
「自発活動と脳の情報処理」の節からの引用:
「大脳皮質神経ネットワークが、入力を単純に出力に変換する一方向ネットワークではなく、
フィードバックやリカレント(再帰的)結合が重要な役割を果たす動的なシステム
(ダイナミカルシステム、力学系)であることを強く示唆している。」
上記(★印)の私の学会発表論文における、「拡散と集中による思考のモデル」では、
出力を入力にフィードバックすることで、連続する連想を可能としている。
「ネットワーク中の神経細胞は、ある種の予測符号化の予測誤差をリアルタイムに計算しており、
神経細胞間のスパイク伝達によって、その予測誤差が減少するときのみスパイク発火を行う
との仮説を立てた。」
マクロレベルとミクロレベルの違いがあるかもしれないが、上記(★印)の私の学会発表論文の
「拡散と集中による思考のモデル」における討論学習では、3種類の学習を設定した。
そのうちの下記に引用したL1型では、概念kから概念jを連想して、かつ、発言したときに、
相手が発言kに応えなかったときは概念kから概念jへの連想度を強化するようにしている。
『L1型:時刻tにok、t+1にojが1ならば、mjk → mjk+δ1。』
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