社内報「システム研」(1987.3.5):
座談会「ソフトウェア生産技術の現状と将来」(所長ほか8名参加)
(注)以下、自分の発言部分のみ抜粋
<・・・>部分は記事の小見出し
<ICASにはシステムコンセプトがある>
「ICASのすぐれている点は、単に作業効率をあげたというだけでなく
システムコンセプトを作ったところだと思います。特に
@ ユーザインタフェース、
A プログラムデータベース、
B ツール間のインタフェース
の三つの一貫性がポイントになったと考えています。」
<ユーザと遊離しない研究のアプローチが必要>
「私自身、十三年間ソフトの研究開発に携わっていながら、真の意味で
実用になったと言えるソフトは三つしか作っていません。
ユーザと遊離しない研究のアプローチが大事です。
私はユーザが文句を言うところまでくればツール作りは成功と思っています。
それをもとにどんどん改良していけるからです。」
「今後はソフトの専門家から非専門家に至るまで幅広いユーザを捉える
知識工学の手法を取り入れていきたいと思います。
プログラミングのベテランの経験、勘を知識化できれば、
個人差が大きい現在のソフト生産方式に効果的なツールができます。」
「確かにプログラマの平均レベルは下がる一方、逆に要求される機能はアップしています。
このための対策手段としては計算機側から人間を誘導していく技術が必要で
ソフト生産技術にAI技術を応用することだと考えています。
特に、これまでの最大のネックはアセンブラから高級言語に至るまで
常に手続き的にプログラムを記述してきた点にあり、
今後は宣言的に書いていくことで知識工学の立場から
ソフトエンジニアリングをみていきたいと思います。」
以上